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GTマウンテンバイクのミドルエンドシリーズのAVALANCE(アヴァランチェ)シリーズは、すべてのフレームをBOOST 141mmエンドにすることにより
セミファットバイクとしてラインアップしていたパンテラと同じ2.8のセミファットタイヤ飲み込むクリアランスを実現し
29インチや27.5インチに大径化したことで剛性を確保することが難しくなっているホイールも、ハブのワイド化により構造体として高剛性化を達成している。

フレーム GT 6061 T6 アルミニウム、Triple Triangle フローティングシートステー、インターナルケーブルルーティング、
ドロッパーポストルーティング、Boost 141 鍛造ドロップアウト、ゼロスタック 1 1/8- 1.5 ヘッド
フォーク SR SUNTOUR XCM30-LO
シフター Microshift SL-M850-R、10スピード

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取り寄せの商品ですが、注文してから4日で到着して満足です。ただ、商品に比べて箱が大き過ぎるので、もう少し商品に応じた大きさにした方がいいと思います。
発送が早かったです。またよろしくよろしくお願い致します。
こちら評価にて失礼致します。今回はこちらの都合でご注文はキャンセルと結果は残念となりましたが最後まで丁寧親切な対応をして頂き誠にありがとうございました。もし又の機会がありましたらどうぞ宜しくお願い致します。
梱包・配達ともに丁寧迅速な対応でした。また機会があれば利用したいと思います。

〈Web東京創元社マガジン〉は、ミステリ、SF、ファンタジイ、ホラーの専門出版社・東京創元社が贈るウェブマガジンです。平日はほぼ毎日更新しています。  創刊は2006年3月8日。最初はwww.tsogen.co.jp内に設けられました。創刊時からの看板エッセイが「桜庭一樹読書日記」。桜庭さんの読書通を全国に知らしめ、14年5月までつづくことになった人気連載です。  〈Webミステリーズ!〉という名称はもちろん、そのころ創刊後3年を迎えようとしていた、弊社の隔月刊ミステリ専門誌〈ミステリーズ!〉にちなみます。それのWeb版の意味ですが、内容的に重なり合うことはほとんどありませんでした。  09年4月6日に、東京創元社サイトを5年ぶりに全面リニューアルしたことに伴い、現在のURLを取得し、独立したウェブマガジンとしました。  それまで東京創元社サイトに掲載していた、編集者執筆による無署名の紹介記事「本の話題」も、〈Webミステリーズ!〉のコーナーとして統合しました。また、他社提供のプレゼント品コーナーも設置しました。  創作も数多く掲載、連載し、とくに山本弘さんの代表作となった『MM9―invasion―』『MM9―destruction―』や《BISビブリオバトル部》シリーズ第1部、第2部は〈Webミステリーズ!〉に連載されたものです。  紙版〈ミステリーズ!〉との連動としては、リニューアル号となる09年4月更新号では、湊かなえさんの連載小説の第1回を掲載しました(09年10月末日まで限定公開)。  2009年4月10日/2016年3月7日 編集部

16世紀ヴェネツィアを舞台にしたファンタジイ 上田朔也『ヴェネツィアの陰の末裔』(創元推理文庫)



 ベネデットには、11歳で孤児院に拾われるまでの記憶がない。過去を思い出すよすがといえば、繰り返し見る両親の死の悪夢だけだ。魔力を発現して孤児院から〈学院〉に移されて以来、彼の護衛剣士に志願し“血の契約”によって結ばれた半身にして、相棒、背中を守る剣となった同じ孤児院出身のリザベッタと共に、ヴェネツィア共和国の魔術師の一員として陰の世界に生きている。
 魔術師を束ねるのは、顧問官であるセラフィーニ。魔術の天分だけでなく、ヴェネツィアの隅々にまで密偵の蜘蛛の糸を張り巡らせ、情報を握る非凡な諜報の手腕をもって、魔術師という異端の存在を必要不可欠なものと認めさせてきた。
 あるとき、セラフィーニの情報網に、ハプスブルクの暗殺者による元首暗殺計画の情報がかかった。ベネデットら魔術師たちの活躍で暗殺計画は未然に防いだが、その背後には巻き込む恐るべき陰謀が隠されていたのだ……。
 16世紀ヨーロッパ、神聖ローマ帝国皇帝カール5世、フランス王シャルル8世、法王クレメンス7世、そしてオスマン・トルコといった列強が同盟、裏切り、そして陰謀を繰り広げた時代、異端と迫害されながらも、権謀術数のただ中に身を置く魔術師の姿を描いた壮大なスペクタクル。
 第5回創元ファンタジイ新人賞佳作作品。


■上田朔也(うえだ・さくや)
大阪府出身。京都大学文学部卒業。2020年『ヴェネツィアの陰の末裔』が第5回創元ファンタジイ新人賞佳作に選出される。

原島文世/スザンナ・クラーク『ピラネージ』訳者あとがき[全文]



 はてしない海からたえず潮がそそぎこむ広大な館。無数の広間が連なり、古代めいた像が林立するその不思議な場所で、僕は十三人の死者の骨と暮らしている。この世界に生きた人間はたったふたり。僕自身と、週に二度訪れる「もうひとり」と呼んでいる男だけだ。幻の「十六人目」が現れることを夢見る僕だったが、いつしか、館だけで完結していた世界に奇妙なゆらぎが生じはじめる――
 英国の作家スザンナ・クラークが二〇二〇年に発表した長篇ファンタジー、PIRANESIの全訳をお届けする。
 この著者の名にぴんときた方は、かなりのファンタジー通ではないだろうか。『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』(中村浩美訳/ヴィレッジブックス、全三巻/二〇〇八年)という書名のほうなら聞き覚えがあるかもしれない。二〇〇四年に出版されるや一躍世界的なベストセラーとなった一大長篇で、魔術と史実の入り交じる十九世紀初頭の英国を舞台にした歴史改変ファンタジーである。新人の長篇デビュー作でありながら、世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ミソピーイク賞、ローカス新人賞など数々の賞をさらい、当然のことながら次作には大きな期待が寄せられた。ところが、その後はほとんど作品が発表されていない。出版されたのは二〇〇六年の短篇集The Ladies of Grace Adieu and Other Storiesぐらいのものだ。つまり、この作品は短篇を含めてもひさびさの新作であり、長篇としてはなんと十六年ぶりの第二作ということになる。そのあたりの事情も含め、作者について簡単に紹介しておこう。
 スザンナ・クラークは一九五九年英国にメソジスト派の牧師の娘として生まれ、北イングランドやスコットランドを転々とした。そのせいかいつも周囲から少し浮いていて、本やテレビで養われた想像の世界にこもりがちな少女だったという。オックスフォード大学に進み、ジャーナリストをめざして哲学・政治・経済(PPE)を専攻したが、本当に興味があったのは物語と人間で、自分はむしろ歴史を学ぶべきだった、とふりかえっている。卒業後は出版関係の職についたものの、社会生活が小さくなっていると考え、一九九〇年から二年ほどイタリアとスペインで暮らし英語教師として働いた。その結果、本当にしたいのは部屋にこもって書くことだと自覚したというから、やはり生まれついての物書きなのだろう。帰国したのち、ふたたび編集の仕事をしながら十年以上かけて『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』を書きあげた。もともと腰をすえて執筆するたちなのだろうが、それ以降著作が途切れたのには理由があり、本人が体調を崩してしまったのである。友人宅で倒れてから、一時はベッドから出られないほどの倦怠感や鬱症状が続き、最終的に慢性疲労症候群と診断を受けた。本来はデビュー長篇のあとには続篇を書こうとしていたが、体調不良のため大量の資料を調べたり、長く複雑な物語を組み立てたりすることに限界を感じ、昔からあたためていた別の話に取り組むことにした。それが『ピラネージ』である(なお、この名はローマの古代遺跡を描いた版画で知られる十八世紀イタリアの版画家・建築家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージからきている)。
 物語の原型は、クラークが二十代のときに生まれた。きっかけとなったのはアルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスで、その作品を扱った講義を受けたあと、潮の流れ込む巨大な館にふたりの人物が暮らしており、一方が館を探索し、もう一方にその情報を提供する、というアイディアが浮かんだという。幻想的な短篇で有名なボルヘスは、しばしば〝無限〟や〝迷宮〟といったモチーフを用いており、『ピラネージ』に大きな影響を与えた。作中に出てくるミノタウロスの像は、ギリシャ神話に基づく短篇「アステリオーンの家」から連想されたものだ。
 もうひとつ重要な下地となっているのが、C・S・ルイスの〈ナルニア国ものがたり〉である。感受性の強い時期に出会ったルイスの作品は、ある意味でクラークの頭の中をまとめるような影響を及ぼしたという。本書の冒頭で『魔術師のおい』が引用されているが、ディゴリーとポリーが迷い込んだチャーンの都の光景は、無数の像が立ち並ぶ館と重なり合う。また、慈しみに満ちたファウヌスの像は、『ライオンと魔女』のタムナスへのオマージュにほかならない。
 史実や伝承を丹念に調べて織りあげた大作『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』と比べて、この作品ははるかに短い。しかし、それがかえって展開の妙を際立たせ、異世界とはなにか、なぜ人は現実とは異なる場所へ行くことを求めるのか、というファンタジーの根源にかかわる問いをまっすぐに投げかけてくる。作者と同じく、子ども時代に「衣装だんす」の奥を探った記憶のある方は、ぜひ手にとってみてほしい。なお、本作はコスタ賞、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞にそろってノミネートされ、英国で女性小説賞を受賞している。


■原島文世(はらしま・ふみよ)
群馬県生まれ。英米文学翻訳家。主な訳書にダイアナ・ウィン・ジョーンズ『牢の中の貴婦人』『バビロンまでは何マイル?』、パトリシア・A・マキリップ『オドの魔法学校』『茨文字の魔法』、ショーニン・マグワイア『不思議の国の少女たち』、チャーリー・N・ホームバーグ『紙の魔術師』などがある。

乾石智子/ソフィア・サマター『図書館島』(市田泉訳)解説[全文]


乾石智子 Tomoko Inuishi



ジュートを捨てる
 
【在庫限り】BULLRESCUE 消防手袋 DK-750 ケブラーグローブは、根気を要求する本だ。わたしのような凡人には、一気読みなんか到底無理。まず改行が少ない。会話文もなかなか出てこない。それでもってこの厚さ、さらに二段組みときた。(単行本のときの話です)わあ! これぞ海外文学セレクション。(これ以降、ネタバレを含みますので、本文をご覧になってからつづきを読んでください)
 一度めをようやく読みはじめたのは、単行本発売からしばらくしてのことだった。期待と敬意を抱きつつ本をひらいたものの、一文にからみつく多弁な言葉が、まるで森の中の骨にからみつく蔦のように繁茂していて、一歩足を踏み入れたのが運のつき、酔っぱらってしまった。頭の中で、きらめくビーズと川の照りかえしとむっとする大気と小鳥たちの姦しい鳴き声がごっちゃになり、〈石の司祭〉の激情と島の建物の冷たさ、〈夜の市〉の煙と血の匂い、東の果ての地の、寒くて干からびた大地に吹く風が、渦を巻く。こりゃたまらん、と最後までの道のりをあっちこっち読み飛ばして、結末もよくわからないままに本を閉じたのが二年前だったかしら。これだって、何日か――ひょっとすると一月以上――かけてようやく、のこと。
 そのあいだに、『魔術師ペンリック』だの、『償いの雪が降る』だの、『鷹の王』だの、『三つ編み』だのと、全然系統の異なる本を同時進行で読んだ。『ペンリック』は楽しかったし、『償いの』は沁みたし、『鷹の王』は男たちの格好良さを堪能したし、『三つ編み』は人間の尊厳というものを考えさせられた。……それで、この、『図書館島』は?
 難しい。面倒くさい。翻弄される。
 そりゃね、異世界を構築して、まったく知らない世界に読者をひきずりこむのだから、言葉をつくし、言葉の蔦でからめとり、あらゆるエピソードで迷わせ、埋もれさせ、酔わせなければならないってことはわかる。それによって、読者は主人公と同じように、どこへ行きつくのか、どんな運命に巻きこまれるのか、不安と希望と絶望を味わうことになるのだから。これぞ、読書というもの、という気もする。昨今は、すらすら読めるのが良書ってことになっているけれど、それでいいのかっていう疑問も浮かんでくる。
 ということで、今度は覚悟を決めて、再読に挑戦。二度めでも頭がくらくらする。溺れそうになったところで本を閉じ、正気に戻ったころにまたひらく。ふう。
 やっと本筋をとらえることができた(と思う)。結末も理解した(多分)。だが、全編を掌中にしたか? ううん、もやもやしてわからないことが多すぎる。
 まずジサヴェトの、この、八つ当たり的行動は何? それからジェヴィックはなぜかたくなに彼女を拒んだのか。最後に、「外なる魂」として、大切にされるジュートを、彼はどうして捨ててしまったのか。
 よし、それではてはじめに、この、存在自体悩ましい少女ジサヴェトをちゃんと理解しよう。この子は十代の少女の典型だ。狭い村の中で生きている、まだ世界を知らない娘。自己中心的で批判精神が旺盛で、他者への要求がやたら多い。父親への圧倒的な信頼と尊敬、母親への軽蔑と嫌悪感。ま、これはね、女の子ならだれでもはまる湿地帯ですよ。深く、ずぼずぼといくか、あっさりと渡っていくかは別として。ああ、こんな嫌な人間だったこともあったわいな、と、過去をふりかえって頷きつつ恥じ入りもしたりするんです。自分の中の嵐と戦うのに、牙をむき爪をたて、寄らば斬るぞ、みたいなオーラを撒き散らすのは仕方がない。十代という不安定な時期がそうさせるのだから。だけどね、ジサヴェト、何もそんなにお母さんを罵らなくても。あんたにはもう少し感謝というものもあっていいんじゃないかと思うのよ。どんなに嵐が吹き荒れていようとも、その間隙に、「ありがとう」の一言はあるべきなんじゃないの?
 ……つまりは、感謝にも思いが至らないほどの、狭い世界しかもっていないってことか。
 一方の、主人公のジェヴィックは、家庭内の軋轢があるものの、基本、苦労知らずで世間知らずのお坊ちゃんだ。そこにルンレが本と知識への情熱を注ぎこんでしまったものだから、頭でっかちの少年に育ってしまった。しかし、オロンドリアにやってきて、広い世界を知り、試練と経験で知識を裏打ちすることで、生きる力を身につけていく。
 ところが、ジサヴェトにはそうした機会が与えられなかったのだろう。与えられないままに生命を奪われ、成長することも許されない天使(幽霊)になってしまった。ああ、少し見えてきましたよ。つまりは、それが、彼女の憾(うら)み、なのか。火葬されなかったがゆえに幽霊になってしまい、一度船の上で会っただけのジェヴィックにつきまとう。西洋の幽霊のように、驚かしたり仇をなしたりするわけでもなく、日本のそれのように恨みつらみを並べ立てて悩ませるわけでもない。彼女らしく、要求ははっきりと、「あたしをあの世に送って」「あ、でも、その前に、本(ヴァロン)を書いて! そうよ、あたしの物語を書いてちょうだい!」と迫ってくる。おのれの属した場所の掟や信仰、迷信にとらわれて、火葬してくれなきゃずっと迷ったままじゃないの、とジェヴィックを責めたてる。これもわからなかった。なぜ、ジェヴィック? 船上で会い、心惹かれた、ただそれだけの関係なのに?
 ここに、「その世界」しか知らない人の悲劇がある、と考えたらどうだろう。異なった価値観、ものの見方、とらえ方を知らなかった、と。
 実際に全く違う世界を呼吸し、体験し、角度を変えて物事をとらえる機会が、彼女にはなかった。狭い村に暮らし、村の価値観だけで生きざるをえなかった少女。彼女は一生(もう死んでいるけど)成長できず、見知らぬ広い世界にあってもその広さや異なる価値観を受けとることもできず、ただ一つ残された自己確認の方法を実行させようと、ジェヴィックに頼むのだ。「ヴァロンを書いて!」と。
 ジサヴェトの強迫に対して、ジェヴィックもまた、強情に拒みつづける。苦痛を味わい、
眠りを妨げられ、ほとんど拷問に近い仕打ちを受けるのに。そのかたくなさには感心する。
坊ちゃま、意外と根性あるじゃないの。彼の意外性はもう一つある。アヴネアニー(交霊者、聖人)、と言われても自己陶酔などせずにその都度否定する。ふうん。つまりは彼、自己を客観視する力を持っているってこと。本をよく読む彼には、その力が自然と備わったと思われる。単に、死を受け容れられないのとは違うのだ。生と死のあいだの、あいまいな領域に足を踏み入れてはいけないと、頭でっかちに理解しているのだ。
「痛みは最悪ではない。最悪なのは間違っているという感覚、罪が暴かれるような感覚だ」「わたしの世界はその触れ合いによって穢され、永久に変わってしまった」
 ところが、ずっと彼の面倒を見てくれていたミロスに死が迫ったときに、変化が訪れる。
死にかけているミロスを見捨てず、世話をしようとする。生と死のあいだに手をさしのべる瞬間だ。必要とあれば、ジサヴェトに懇願して食料を手に入れる算段をし、根気と忍耐と気力と知恵と、そして能動性を発揮する。流されつづけてきた彼が、変化する。世話されてきた者が世話する側になり、立場の逆転が起きたとき、それは、精神の反転になる。彼ははじめて、自分の足で立ち、歩く者となる。穢されたことも受け容れて。それゆえ、ヴァロンを書きはじめる。
 ヴァロンを書いていくにつれて、彼はジサヴェトへの理解を深めていく。わたしたちだって、「こいつ、やなやつ」と一旦は思った相手でも、その人がどんな道を歩いてきたかを知るにつれて、理解し受容するようになるでしょ。ジサヴェトは赤裸々に半生を語るのだが、そこには噓がない。その、率直でまっすぐな少女らしい言葉、彼女の苦しみ、悩み、秘密まで明らかにしていく真実の語りは、ジェヴィックの心を揺り動かす。ジェヴィックに、新しい価値観が芽生える瞬間といえる。
 ジサヴェトにしても、おのれを語ったあとにはじめて自分を客観視できるようになったのだ。彼女の中の世界が広がった。しっかりしたアイデンティティをえて、「違う世界」に行くことができるようになった。「もっと生きたかった」と、今こそ口にして。
 ふう。ここまで思索してきてようやく、「ジュート」の象徴するものが見えてきた。「ジュート」は価値観ではあるまいか。固定化された狭い世界の中の、常識、掟、禁忌を象徴しているのでは。本は知識、知恵、世界そのものへの入り口、扉だ。ジェヴィックはそれを愛する。だからこそ、「ジュート」を捨てるのだ、とは、考えすぎだろうか。
 一人勝手の解釈かもしれないけれど。読書の道案内になればうれしい。
(かえって沼にはまっちゃっても、本解説の関知するところではありません)






■乾石智子(いぬいし・ともこ)
山形県生まれ。山形大学卒業。山形県在住。1999年教育総研ファンタジー大賞受賞。スターウルフで目を覚まし、コナン・ザ・バーバリアンから最初の一歩を助けてもらった。著作に『夜の写本師』『魔道師の月』『太陽の石』『オーリエラントの魔道師たち』『沈黙の書』『闇の虹水晶』『ディアスと月の誓約』『竜鏡の占人』など多数。
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